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久住昌之『野武士のグルメ』

表紙が漫画だったので、『孤独のグルメ』の続編かなと思ったら、エッセイ集だった。

「孤独のグルメの巻末の『釜石の石割桜』、あの感じで何篇か書いて一冊にしましょう」きっとそうだ。そんな経緯で作ったのだろう。それはいい。しかしなぜ「釜石の石割桜」が巻頭に収録されているのか。しかも、『孤独のグルメ』の文章を微妙に加筆修正しているが、そのことにどこにも触れられていない。そういう本作りは愛読者にたいしても、たまたまの読者にたいしても、編集者としての誠意や真摯さがない感じで、自分は嫌いである。

さて、14編ある中には創作ふうのものもあれば、新聞記事の転載だけの埋め草もあって、まさにごった煮(これも嫌い)。

また、「釜石の石割桜」を超える面白いものはなかった。釜石の居酒屋に入ったはらはらどきどき。久住は知らない店に入るのに勇気が必要という。そして憧れたのが野武士のような堂々とした感じ。それが本書の題名の由来。
これに近いのは高崎線沿いの居酒屋に入った「雨漏りのコの字カウンター」か。
または杉浦日向子との交流をつづった一篇。隠居宣言は実は病の自覚ゆえの漫画の断念だとの記述が悲しい。
ほかには、
吉祥寺の「生野菜定食、焼き肉付き」との主従が逆転したようなメニューの店。冷やし中華とライスを注文した隣りの男のいた、これも吉祥寺の店。ぬるいラーメンや麦とろ定食の思い出など。

2010年4月22日読了
2009年2月初版 晋遊舎

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コメント

No title

おぉっ! 『野武士のグルメ』!!
この本を読んだ時「ああ、おいらは野武士になりたかったんだ」と、
元来人見知りで小心者のおいらは眼からウロコが落ちる思いがしました。
初めての店に入る時はドキドキします。1回前を素通りしたりして。
でも、食欲が上回るんで結局入るんですがね。
共感せずにはいられない1冊でした。
関連作ということで『孤独のグルメ』記事をTBさせて頂きます。
それにしても「死んだ杉浦日向子と飲む」は切ないですね……。

No title

おお!上に↑、下に↓、とビーグルキネマさまの熱い思い爆発!!ですね。
さすがです。
また、「新装版」のみ収録の話があるというのは悲しいです(自分のは文庫本)。どこかで探して読んでみます。

No title

初めまして月灯です。
久住氏好きですが『野武士のグルメ』は知らなかったです。

・・・三鷹の”江ぐち”題材のエッセイ好きですわ。

No title

月灯小夜子さま。
こんにちは。
勝手なイメージではかなつ久美という漫画家の『ビバ☆オヤジ酒場』とう漫画の居酒屋案内本が、小夜子さんは好きなのではないか、と。

ちなみに自分はラズウェルさんの『酒のほそ道』が愛読書です。


『』

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王子の狐

Author:王子の狐
Yahoo!からの引っ越しです。
現在は東京・神奈川での飲み食いの記事中心。
昼は人形町、夜はあちこちに出没しています。

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