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太田和彦『ひとり飲む、京都』 

今から四半世紀以上も前のことになるか。
当時の同居人とお盆になると毎年、東北に旅した。
東北のどこかの飲み屋で「御巣鷹山」のニュースを眺めていたことも思い出す。
盛岡・花巻、仙台、津軽・弘前、小樽・札幌、山形などなど。
もう数年続いていたら秋田に行っていたかな。
当時の職場のビルにJTB(交通公社)があったので、「今回はここに行きたいんだけど~」と顔見知りのおっちゃんに相談していた。
計画を話すと、
「なんで同じ所に何泊もするの。あちこち回ればいいのに」と言われたことをいまだに覚えている。
当時は(今もそうかも知れないが)、せっかく連休を得て、交通費をかけて行くんだから、あちこち巡るのが常識だった。
そこだけは相棒と気があったのだが、自分たちは、たとえば盛岡に何泊もして、まるで地元民のように(地図も持たずに)行動する、というのが好きだった。
昼は川べりでぼんやりしたり、いい感じの喫茶店や飲み屋に入れば、それでよかったのだ(当時は今ほど飲めなかったが)。
 
さて、そんな淡い青春時代(?)を思い浮かべたのが、この本。
著者太田和彦さんは、居酒屋研究の第一人者。
全国の居酒屋を旅している。
そんな彼が別の場所に住んでみたくなった。しかしなかなかそうもいかない。
「せめて一週間、仕事も家庭も捨て、単身で一つの町に住んでみよう」と、京都を選んだ。
 
だからこの本には京都観光はまったく出てこない。
ひたすら、夏の1週間と冬の1週間に、朝どこの喫茶店に行き、昼どこでうどんなどを食べ、夕暮れともなるとどこで飲んだのか、の記録(店名・メニュー。支払金額)しかない。
ときにはホテルに戻って仮眠をとって、再び夜の町を居酒屋を求めて行く。
京都で呑みたくなった人には必携の本だな。
その中から彼の得た結論がいい。
「一日二日の滞在では失敗できないからつい手堅くなじみの店になってしまう。」
一週間の余裕があれば、予約でいっぱいの店も待てるし、冒険もできるのだ。
この「なじみの店」を「ガイドブックに紹介された店」と置き換えると、同感する方も多いのではないか。
 
…カヌーイストの野田知佑さんが「男は年に一度くらい行方不明になれ」と言っていた。スケールは小さいけれどそれかもしれない。夜一時、京都の居酒屋に私がひとり座っていることは誰も知らない。
 自由の感覚がある。もう一杯飲むのも自由、もう一軒入るのも自由、このまま帰るのも自由、なにもしないでじっとしているのも自由だ。
 
このフレーズが好きだ。あとで見たら、帯の惹句にも使われていた(ちぇっ)。
 
一週間のホテル滞在は無理だが、観光もせず、地元民としての旅をまたしたくなった。
そして、言ってしまえば、飲み屋でひとり飲んでいるのも、小さな旅なのだ。
いつも入る[山田屋]でさえも、今度また来れることがあるのか、となかば「旅人」の様な眼で眺めている。
今日はしんみりしちゃったな。
 
2011年10月16日読了
2011年5月初版 マガジンハウス
  ………………………………………………………………………………………………
 
前に撮ったのに、この読書記録と併せて記事にしようとしておいていた[山田屋]。
10月16日
イメージ 1
一番奥の席に陣取って眺める。
イメージ 2
イメージ 3
秋鮭が肉厚でいいでしょ。
揚げ出し豆富や湯豆富(温奴)なんかだと、気持ちがほのぼのとしてきますね。 
 
いわしのたたき 270円
塩辛 240円
白鷹・青松 大 460円×2
秋鮭フライ 240円
揚げ出し豆富 240円
目刺し 140円
計 2150円
何かのメニュー見間違いか、レジの入力ミスか、まあいいや。
 
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コメント

No title

日本百名居酒屋が好きです。
全国居酒屋巡礼も好きです。

自分にとっての教徒は、品川~桜木町になるのでしょうか。
もう一軒入るのは自由!その前に時計見ちゃいます。

相棒さんは、今どうされているのでしょうかね。

No title

王子さん
こんばんは♪

王子さんと同じ、なんて言ったら失礼かも知れませんが・・・
私も、どこかに観光に行ったら あまり回ることなくひと場所で何時間でも過ごすのが好きです
私の友は、せっかく来たのだから
あそこも、ここも、あっちもと、大変です
なかなか意見が合わないのですが
気兼ねなく、付き合える友は彼女だけだし・・

今度、生まれ変われるなら
何処へでも、一人でふらっと旅の出来る人になりたいな~~
ゴメンナサイ<(_ _)>
記事を読んでいて、そんな事を思ってしまいました。

No title

ymppさま。
京都はどこで呑んでも必ず歩いて帰れますからね。
自分が車の免許を持っていないのには、京都暮らしも関係しているかも。
自転車か原付きで大丈夫な町でしたから。

相棒…生きてはいるんでしょうけどねえ。それも不確か。

No title

よっこさま。
同じでうれしいです。
友達との、移動または滞在のせめぎ合いが楽しそうです。

ひとりでふらっとの旅人。生まれ変わらなくても、まだ間に合いますよ。ただ、先立つ¥があれば、ですが(笑)。

No title

私も、一つの場所でゆっくり派なんですが、うちの相棒?(夫)は、旅すると、あちこち、行きたがるので、疲れます。が、全部、任せて、運転もするので、良しとしてます。(*^_^*)相棒チェンジされたのですか?うちは、まだ、同じです。(^^ゞ

No title

【日本百名居酒屋】、夫が見ているので、時々私も一緒にみますが
とても良い顔で呑んだり食べたりする方ですよね^^

ところで、今回、王子さまが注文されたおつまみの数々・・
私の好物が多いです!

イワシのたたき・塩辛・揚げだし豆腐

No title

四半世紀前にその旅のスタイルは老成されてましたね。相棒さんも。
一人旅が好きです。
足の向くまま、気の向くまま…寅さんや水戸黄門みたいに全国津々浦々。
待っていてくれる家族、変える場所があるから旅もいいのかもしれませんね。
呑む前にご家族に感謝ですね。

No title

どうしたのでしょう?今日の王子さんは、しんみり!

「男は年に一度くらい行方不明になれ」って!家の旦那は、しゅっちゅう行方不明なんですけど~!女も年に一度は行方不明になりたい私です。

No title

私もマー君ママさんに賛成。年1の1週間じゃなくて、月に1度はやってくる誰にも邪魔されないひとりきりの週末。他の週は家族に感謝して暮らせます。

No title

私もなんの気兼ねもなく思いのままに家をあけてみたいなぁ。
そんなことが出来る様になるまで後何年かかるかな??
(まだまだ下の息子がいるので)

その何年後かには「あの頃は子供が小さくて
楽しかったなぁ」とかしみじみ思っていそう・・・。

No title

mimiさま。
運転任せならいいですよね。呑めないmimiさんには恩恵少ないでしょうが。
チェンジではなく、出て行ったのです。
当時は「沢田研二の『勝手にしやがれ』だよ」と言うと、通じたのですが…。

No title

samさま。
初めはどなたか、と。
CS見れるのですね。うちはBSだけです。

おお、お好みが合いましたか。
では半分こで。

No title

オニ母さま。
今は自分ももっぱらひとり旅です。
若い頃は異性との旅も、同性との旅も楽しいのですが、
なかなか休みが合わなくなりました。
全国津々浦々、いいですね。
「田舎に泊まろう」的で。

No title

マー君ママさま。
おほほ、お付き合いが短いからかな。
20本に1本は(推定)しんみり記事が特徴のブログです。

No title

オニ母さま。
前に謎の山の別荘で過ごされていた記事を思い出しました。
あれができるオニ母さまなのですね。

No title

ina*inaさま。
小さい子がいなければ自由があるのに、と思っているうちが花なのかもしれませんね。

当方、ひまがある頃は金がなく、
小銭が出来た頃、ひまがなくなりました。

No title

この本今図書館で予約待ちです!
(って何故買わない・・・)

立ち読みしてるとき『あ!やったやった』と思った箇所があって嬉しくなりました。
『フジタからイノダの三条店に向い奥のハイツールに腰を下ろすのが好みです』みたいな所・・・

今図書館の予約見てきたらまだ3人もいました!チッ!!

No title

月灯小夜子さま。
そうでした。
小夜子さんも呑むために京都にお行きになってましたよね。
この掲載店のどこかで呑めば、太田氏に遭遇するチャンスありますよね。
やはり類氏と、店単価がちょっと違いますね。

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プロフィール

王子の狐

Author:王子の狐
Yahoo!からの引っ越しです。
現在は東京・神奈川での飲み食いの記事中心。
昼は人形町、夜はあちこちに出没しています。

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