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経堂 商店街のそば屋福本家

杉浦日向子さんをご存知か。江戸風俗研究家と言うのが最後の肩書。時代考証をきちっとした江戸風俗の漫画を描いた方で、綺麗な人だった。46歳の若さで亡くなった。
彼女がそば屋好きの仲間と「ソ連」(ソバ好き連)を結成して『ソバ屋で憩う』という本を出した。その本の魅力はまた別の機会にということにして、一時この本に出てくる名店に伺った。
その一つに小田急線経堂駅近くに[経堂]があり、ここは気に入って、鴎友に行く、恵泉に行く、東京農大一高に行く、そんな折によく通った。
古民家のような旅館のような店内で、玄関で靴を脱いで上がる。そしていくつかの部屋にテーブルとイス、座敷に座卓といったものがあり、坪庭もあり、まるで田舎の民宿に来た感じ。これが世田谷の中にあるのだ。
久しぶりに経堂駅に来たのは2月1日の午後。
時間的に[経堂]でいただくことはできなさそうだが、お店構えを拝みに行こうかと思ったのは何の思し召しか。
場所は考えなくてもわかっている。駅前郵便局の向かいだ……ない! ないのだ。
確かにここだったと思えるところにはビルが建っていてその前にいた男が胡散臭そうにこちらを見る。
また一つ思い出とともに名店が消えていったのか。
砂を噛むような思いでとぼとぼとすすらん通りを歩く。
そうだ、ここ商店街にもそば屋があり、いかにも入り口にホンダのカブが停まっていそうな感じだった。この駅で蕎麦となると[経堂]だったので、入ったことはたぶんない。
メニューを見ると「もり400円」だったかな。
ここならさっといただけるか、入ってみよう。
[福本家]
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ガラリと戸を引くと店内昔ながらの感じのたたずまい。真ん中を通路にして両側にいくつものテーブル、奥正面に厨房。
いらっしゃいませの声とともに女将さんが「ご覧ください」と一つのテーブルにスポーツ新聞を置くのでそこに着席。
振り仰ぐと
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こんな舌代が。
ここから店頭を見ると
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こんな感じ。
ああ、ここで昼酒と行きたいところだ。
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「手打ちもあり、食感が違います」
機械と手打ちとで150円の違いか。そうとなると「手打ちで」。

来たときは自分だけだったがその後リーマン3人組やリタイヤ夫婦、別のリーマン組、女性ひとりなどがやって来た。
リタイヤ組のあたりから「お時間かかりますが」と声をかけ始める。
別のリーマン組にもそういうと「玉子そばなら早い?」
いえ、ひとりで順番にやってますので…天ぷらを頼まれた方もいますので…と、たぶんお昼休み時間が厳しくなるとの思いやりなのだろうが、来てほしくないとも取られる言葉で帰って行く人たちもいた。
一番客で良かったと、ちょっとホッとする。
やがて来た来た。
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何の特徴もないふつうの手打ちもりそば
これがいいのよ。名店の蕎麦屋ではなく、街中の蕎麦屋なんだから「主張」も「主義」もいらない。
さも大切そうに小盛で、大盛りはできません、そんなのはだめだ(ここではそう言っておく)。
そうだ、今自分が食べようとしているのは、昨日の夜、蕎麦をいただけなかったことの意趣返しか。いや恨みはないのですが。
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一部は七味を振りかけ、あとはわさびで。
お前に手打ちと機械打ちとで違いが判るのかというご意見もありましょうが、はい、たぶんわかりません。
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そば湯が大きいなあ。ふたを開ける。
あちゃー、たっぷりだ。
これだと下のミルキーな部分までにたどり着かないね。
まあいい。ほっこりしましょう。
昨日の西麻布のそば屋、だれもがそば湯を「いらない」と言ってましたが、どうしてなんでしょうね。
そば湯が呑みたくてもりを頼むふうでもある自分にはわからない。
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こういうお皿はそばなら薬味、丼ならたくあんでも乗っけて出前だと白い紙かけて運ぶんだろうな(この人手不足なら配達はしないだろうが)。
だって店内だけだと、電話番号不要だし。
もしかすると昔は、商店街の中だけおかもちで配達していたのかな。
「今日は忙しいから福本さんちに頼んじまいな」ご主人のその言葉待ってました!そんな感じで。
もりそば 600円
ごちそうさまでした

街中のそば屋、と書きましたが店は70年の歴史あり、砂糖は一切使わず本みりんと昆布醤油かつお節だけでつゆを作っている本格派だということを付け加えておきます。

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[福本家]
東京都世田谷区宮坂3-20-3
11:40~17:40
火曜休
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コメント

No title

またひとつ、お店が消えたの?
時代の流れで仕方ないね~❗
そんななかで、新規開拓したんだね❗
街の中の蕎麦屋さん、手打ちやってたんだ~
一人でやられてるのも凄いね~🎵

No title

小田急線は学生の時毎日乗っていたのですがこの前20年ぶりに乗ってびっくりしました(笑)

No title

「ソバ屋で憩う」は愛読書のひとつです。
あの世界観がたまらなく良いです。
残念をいたしましまね。でも、その分素敵なお蕎麦屋さんと出会うことが出来たと言うことで。三箸半で無くなるような江戸前の老舗蕎麦屋なんて嫌いだい。

No title

ぽちぽちさま。
なくなるのも定めなら、創業70年というのはすごいな~とつくづく感じちゃいますね。
ひっそりとした街のそば屋に名店あり、そんな感じですかねえ。

No title

おん蔵さま。
そのびっくりした内容が気になってしょうがない(笑)。
まあロマンスカーはいろいろ投入されてますよね。

No title

え~と、当方も手打ちと機械打ちの差は多分分かりません…(^^ゞ

No title

やまぴょんさま。
ああやはり、というべきかそうなんだ!というべきか、愛読されていましたか。
あのひとたちの「そば好き」でなく「そば屋好き」というのはよくわかります。自分も酒ではなく「飲み屋好き」ですし、落語ではなく「落語家好き」だろうし。

No title

気に入った蕎麦屋ってなかなかないものですよね。
蕎麦くらい「高くて旨いは当たり前」な世界もないですね。

No title

おはようさぎ
あぁ、私の近所にそんな名店があったのですね。。。
なくなられる前にお会いしたかったです
私の職場の最寄り駅も区画整理で、
お気に入りのお店がまたいくつも消えてしまいました。
「ソバ屋で憩う」、私も拝読してみようかしら?

No title

ノブさま。
有機・手造り・自家製・地元産・フェアトレード…そんな言葉によって頼んだりする自分です(笑)。

No title

ぶらくり佐藤さま。
求道的なそば職人の店って往々にしてそうなりますね。
たかが昔のファストフードじゃないかと言いたくなります(怖くて言えませんが)。
その点、こういう街のそば屋はありがたい。

No title

びびりさま。
ああ区画整理でそれを機会に廃業、つらいですねえ。

そうそう、ちょっと古めの本で、まだあるかと訪ね歩くのも、散歩の一種で楽しいですよ。食べログの下調べ禁止で(笑)。

No title

おはようございます。
なんと、経堂にいらしたんですか。
私の仕事場は経堂なんですよ。
(正確には経堂と千歳船橋の間くらいなんですが)駅周りは随分と整理されて変わりました。
すずらん通りの方はほとんど行かないので福本家さんは知りませんでした。近々に行ってみます。

No title

この時期いつもと違う土地で呑み食いしているのが季節感を感じます(笑)
高くて偉くて少ない蕎麦は願い下げですな。

No title

FCGT11さま。
おお経堂でしたか。
だから小田急沿線にお詳しいはずだ。
まあ、あえてお越しになるお店でもないとは思いますが(笑)、お近くならぜひ一度。

No title

ypさま。
自分でもそう思います。
ちょい旅のちょい発見が楽しいです。
そうそう、講釈垂れるなら、おれは富士そば行くぜ、と思っちゃいますね。

No title

おはようございます。
このようなお店でお蕎麦をいただいて、食後にゆったりと蕎麦湯をいただくのって良いですね。
地元の駅前に1度も行ったことがないお蕎麦屋さんがあるので、そちらに行ってみようかなと思いました(^^)

No title

浜雪さま。
地元で長くやっているお店は、誠実な仕事をしていないと続かないから、ぜひ行ってみてください。
がっかりするかもしれませんが、それもまた、いい話のタネできた!の精神で(笑)。

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王子の狐

Author:王子の狐
Yahoo!からの引っ越しです。
現在は東京・神奈川での飲み食いの記事中心。
昼は人形町、夜はあちこちに出没しています。

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